クラウドファンディング Kickstarterとは何か?(10)
プロジェクトのはじめから完了まで
これまでこところでKickstarterの仕組みを理解する上で必要な概念は、おおよそご理解いただけたのではないかと思います。では、プロジェクトのはじめからおわりまでどのように流れてゆくのか、Kickstarterのウェブサイトに書かれてあることに基づいてみてゆくことにしましょう。なお、前に記述したように現時点では日本から直接Kickstarterでプロジェクトを立ち上げることはできないので、実際にトライしたいと思っていらっしゃる方は別に詳しい方にご相談して下さい。
プロジェクトの登録:プロジェクトの登録は、Kickstarterのウェブサイトで行います。
まずはクリエイター自身のアカウントを登録し、プロジェクトのカテゴリー、名称、国を入力してプロジェクトを開設します。その後で、プロジェクトの概要、リワード、プロジェクトにまつわるストーリー、クリエイターに関する情報、本人確認手続きを入力してゆきます。
プロジェクトの概要:ここで目標金額や期間を入力します。期間は最長60日までの長さで設定しますが、30日以下が推奨されています。参考図書(Don Steinberg 2012 “The Kickstarter Handbook, Don Steinberg”, Quick Books)によれば、この上限は以前は90日だったものが短縮されたとのこと。同書でも長くすればよいというものではなく短期決戦-30日が推奨されていました。
リワードの設定:リワードには、上限を設けることができます。予想外にプレッジが集まりすぎて履行が困難にならないよう生産能力や対応能力に限界があるもの、赤字になる恐れのあるものは上限を設けておく必要があります。
なお、モノを送付する場合プレッジの金額を設定する場合には送料を見込んでおく必要があります。特に海外から多くの申込みがあった場合、下手をすると送料の負担で思わぬ出費を強いられる恐れがあるので注意が必要です。このため、国内からの申込みに限定するか、もしくは海外に発送する場合は通常のプレッジに上乗せ額を設定することもできます。
プロジェクトにまつわるストーリー:支援者に対して、自分たちのプロジェクトへの資金提供を訴えるためプレゼンテーションで、もっとも重要なパートです。写真、文章に加え、必須ではありませんがビデオが強く推奨されており、事実、大部分のプロジェクトはビデオが投稿されています。
クリエイターについての情報:クリエイターの略歴、Facebook、ツイッターのアカウントなど。Kickstarterは見知らぬ人同士の信頼の上に成り立っています。ゆえに自分がいかにプロジェクトを現実に遂行できる能力を持っているかアピールし、理解してもらうことは大切です。
本人確認:本人確認は、メール又は自動音声電話により行われようです。
必要な入力を完成したらKickstarterに審査を申込み、承認されればいよいよローンチが可能となります。この承認手続きは、2014年6月に刷新され、”Launch Now”と呼ばれる仕組みが導入されています。これは、これまで蓄積された膨大なデータとアルゴリズムを用いてプロジェクト可否判断を機械的に行うというものです。従来はここをスタッフが人手をかけてチェックしていたので大変だったのですが、そうしたアナログなプロセスの中でKickstarterとクリエイターとの間でアバドバイス、励まし、サポートといったユーザーフレンドリーやりとりが行われていた面もあったので、スタッフに目を通してもらってフィードバックをもらうことを選択する道も残されているようです。なお、審査はルール違反がないかどうかをみるもので、イケてないプロジェクトをはじくものではありません。
さて、ローンチ後は、通常は「人事を尽くして天命を待つ」とばかりにじっと待っているのではなく、SNSなどを使って積極的にプロモーションを行います。もちろんプロモーション活動はローンチ前から行ってよく、むしろローンチ後は短期決戦なのでローンチまでにできる限り宣伝活動を行っておくべきでしょう。前述の参考図書によるとプレッジの申込みが多いのは、スタート直後の時期と締切り間近の時期だとか。成功するプロジェクトの中には、スタートダッシュの勢いをそのまま一気にゴールまでもってゆくケースも少なくないようですが(ホバーボードのケース)、そうならなければ、スタートダッシュの勢いが衰えた後しばらく中だるみの時期があって、最後にもう一度盛り返すパターンが多いようです。このように、じわじわとした動きの後一気に加速するホッケースティック状の動きをたどるのは、SNSなどで情報がバイラルに拡散していくのに従っているのかもしれないし、或いはもっと単純に選挙運動と同じように泥臭い最後の頑張りがものを言っているだけなのかもしれません。
なお、ローンチ後もプレゼンの文章やビデオ、FAQ、クリエイターの略歴は変更することができます。リワードに関しては、新しいリワードを追加することができるほか、もしまだ支援者がいなければその金額区分のリワードに限っては変更可能です。目標金額、期限、名称、既に支援の申込みのあった金額区分のリワードは変更できません。
締切日に支援者からのプレッジの合計金額が目標金額に達していた場合は、プロジェクトが成立し、集まったお金は、手数料を差し引かれてクリエイターに支払われます。手数料はKickstarterに対するものが5%で、そのほか集金手数料が3-5%かかります。
晴れて資金が入手できたら、さぁ、プロジェクトを実現しましょう!Kickstarterからは、支援者とリワードのリストが送られてきますので、支援者に対して約束したリワードも順次遂行してゆきます。Kickstarterは、その性質上、通常のネット通販と異なりリワードを実際に提供できるようになるまで時間を要するケースが多くあります。リワードの提供予定時期はあらかじめ公表されていますが、とりわけ製品開発のプロジェクトの場合など、想定外の技術的な問題などによって予想を大きく超過してしまう可能性もあります。このためタイムリーにコミュニケーションをとるように努めることは重要です。(つづく)
2014/10/30| 11:35 PM| カテゴリー:起業
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