このカテゴリーに属する記事のタグ一覧

※連載記事はこちらからまとめてご覧になることができます。

クラウドファンディング Kickstarterとは何か?(11)

これまでKickstarterのしくみや、プロジェクトの開始から終了まで流れを見てまいりましたので、次にKickstarterでプロジェクトを成功させるコツのようなものについても触れたいとは思うのですが、残念ながらこのテーマは実際にプロジェクトを立ち上げた経験もない私のような者が真正面から語ることができるレベルを超えているでしょう。その代わりといってはなんですが、上手くいかないプロジェクトに共通する重要な失敗原因を挙げることくらいはできそうです。といっても、ごくごく当たり前のことになってしまうのですが。
・プロジェクト自体がイケてないこと
・プロモーションが上手くいかなかったこと
失敗したプロジェクトのほとんどは、この二つのうちのいずれか、或いは両方に原因があったといっても良いと思います。これらに加えて目標額を達成するという目的のためには、魅力的なリワードを値ごろ感があって拠出しやすいプレッジで提供することも成否に重要な影響を与える要因となるでしょう。さらには、目標額を達成するだけでなく、収支が赤字になることもなく、約束したリワードを無事に提供することができ、クリエイター・支援者ともにハッピーな結果になってはじめて真の成功を呼べるのですから、そのためには、目標金額・リワード・プレッジが上手に設計されていること、そして、プロジェクトを遂行できるだけの人的な、物的な、或いは技術的な態勢が整っていることも欠かせません。

さて、最初に挙げたごく当たり前の二つの条件について少し補足しておきます。
イケてるプロジェクトを企画する能力はまさにクリエイターのセンスにかかわることで、そもそもイカしているのだけどお金がないから実現できないアイディアを実現するのがKickstarterなのですから、「私にはそういうセンスがからっきしなくてアイディアが思いつかないのですが、どうしたらいいでしょうか?」という悩みは残念ながらここでは論外としておきましょう。もっとも、プロジェクト自体がイケてるか、イケてないかの事前審査があるわけでもなく、傍から見ると「何でそんなくだらないことに??」と思えるようなプロジェクトに思わぬお金が集まることがあるのもKickstarterの面白いところではあります。ですが、第3回の統計のところで紹介したとおりプレッジが1銭も集まらないプロジェクトが全体の1割程度あることからもわかる通り、魅力のないプロジェクトは見向きもされないというのもまた厳然たる事実なのです。

プロモーションも然りです。Kickstarterのサイトへ行くと、ローンチされたすべてのプロジェクトが掲載され、クリエイターが心血を注いで作ったプレゼン資料やプロモーション・ビデオをみることもできます。そもそもKickstarterは、お金を必要としているクールなプロジェクトを、それを求めている多数の人々に知らしめるための仕組なのですが、もはやKickstarterでプロジェクトと立ち上げること自体の話題性は全くないといってよく、プラスαのプロモーションを行うことが事実上前提になっているな状況です。Kickstarterでは、今進行中のプロジェクトが6,000件以上あります。これらは15のカテゴリーに分類され、さらにそれぞれがいくつかのサブカテゴリーにわかれていて、サイトを訪れた人は各自興味のある分野にドリルダウンしてゆくでしょうから、実際にはさすがに6,000件の中から1件を選ぶ状況にはならないでしょうが、それでも自分に興味のあるジャンルに属する数十件或いは数百件のプロジェクトの中から、自分のプロジェクトに目をとめて下さい、というのはかなり無理難題であることには違いありません。

Kickstarter のサイトでは、スタッフが選んだ注目プロジェクト(Staff Picks)や人気プロジェクトといて目を引きやすい場所に掲示されることもあり、その場合は大きな宣伝効果が期待されますが、クリエイター自身がコントロールすることができないので、あてにすることはできません。

このように、Kickstarterが夢の実現に手を貸してくれる仕組みであるとしても、それは、多数の太っ腹な支援者たちが、玉石混交多数のプロジェクトの中をかき分けて自分たちのプロジェクトを探し当ててくれて、企画自体が多少イケていなかなぁと思ったとしても、「よしっ、がんばれ!」と気前よく資金を投げ出してくれるような世界でないことだけは肝に銘じておきましょう。繰り返しになりますが、1銭たりとも集まらないプロジェクトが1割程度あるのです。

さて、プロモーションについてです。プロモーションといっても、巨額の費用をかけてTVコマーシャルや全国紙・雑誌に広告を掲載することではもちろんありません。なにしろお金がないからKickstarterを利用しているのですから。さらに、メジャーな新聞やTVネットワークで記事として取り上げられれば(「ホバーボード」がニューヨークタイムズで取り上げられたように)さすがに広く注目を集めるとこができるのでそれにこしたことはないのですが、普通はそういう大物を狙ってゆくのではなく、もっとターゲットをしぼって地道に活動を積み重ねてゆくことになります。

ひとつは、フェイスブック、ツイッターのといったSNSやメール、ブログなどを介して主にインターネット上でバイラルに情報を拡散させることです。ですので、貴方のことを気にかけてくれている親戚や困ったときに喜んで手を差し伸べてくれる友達が多いにこしたことはないのですが、成否を決めるのは、そうした直接の知人ではなく、そういう人たちの知り合いのさらにその先の知り合い(3次以降のつながり)まで上手く拡散できるかどうかにかかっているといわれています。そこまでのレベルになるともはや無理なお願いを聞いてもらえる関係ではありませんから、何が決め手になるかというと、つまるところはプロジェクト自体がイケてるかどうかにかかってくるということになるのでしょうね。

もうひとつはメディアですが、これも、はじめに触れたように全国紙や全国ネットワークのTVではなくて、ターゲットとなる支援者が読んでいそうなオンラインメディアや著名なブログに地道に売り込みをかけてうくこと、それから、地元のメディアに働きかけてご当地のイベントとして盛り上げてもらうことが中心になると思われます。

このようにKickstarterでプロジェクトを成功させるのは決して容易ではありません。しかし、クリエイターと支援者の距離を劇的に縮めることで、従来では経済的な理由から断念せざるを得なかったであろう多くのプロジェクトに実現の道をひらいてきたのも紛れもない事実です。そして、容易ではないながらも、内容と然るべきプロモーションの努力を伴ったプロジェクトに関しては、比較的高い成功率が報告されているのは第3回でみたとおりです。(つづく)

関連記事:

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>